ダイレクトレスポンスマーケティングの甘い罠

こんばんは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。

前回の記事「我々の怒り。」では、SNSのコメントだけでなく、メッセージまでいただきました。

いや、同じ時期に同じ苦労をされた先生は、場所は違えどみんな同じような想いをし、今現在も怒りがあるんだなと再認識しました。

 

ちなみに私はそういう諸々の怒りが爆発して自費に移行しました。
怒りをパワーにすると短期間だけはかなり良い結果を出すと思います。
(あまり長くしていると人相悪くなるのでダメですけど)

 

今回は今我々業界を席巻しているダイレクトレスポンスマーケティングについて書かせていただきたいと思います。

 

この業界に経営コンサルが参入し、労務管理なども入ってきて、家業が急激に事業への変化していき、そこに今度は「マーケティング」という名目でダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)の手法が入ってきました。

このDRMは、名のごとくすぐに反応があるマーケティングってことで、通販の「今すぐお電話を」的なヤツです。

アメリカではすでに100年くらいの歴史があるそうですが、日本では神田昌典先生が最初に「顧客獲得実践会」という中でマーケティングをレクチャーしたのが最初の方ではないでしょうか。

 

さてまあ、こういう感じで日本ではDRMというのは非常に歴史の浅いマーケティング手法であることはわかっていていただきたいと思うんですね。

 

 

そういうことを踏まえて、です。

 

我々の事業にいつまでDRMが必要かということになるんです。

 

 

というのも、どんな事業にもステップがあると思うんです。

ちょっとそれを書いていきたいと思います。

 

STEP1:とりあえず売上段階(お金重視)

これは開業したての場合や、開業したてでなくても赤字経営だとか、売上が悪くて廃業寸前だとか言う場合はつべこべ言わずに売上を上げろという時期になります。
事業というのは存続しなければ意味がありませんので、法を犯さない程度になんでもやらないといけない部分もあると思います。
ちなみに私が開業した頃は、スタッフに「近くの整骨院全部潰す」という目標を掲げていました。
リピート率云々ってのもこの段階ですね。

この段階ではDRMは必須アイテムになりますね。

 

STEP2:院内整備段階(患者さん重視)

患者さんがそこそこ受診し出すと、今度はスタッフ育成だとか、待ち時間解消だとかそういうものに注力していく必要が出てきます。
チラシなんてポスティングしてるヒマがあるならスタッフ教育、という感じになります。
この段階でストレスをためる方も少なくありません。
もちろんスタッフがいないにしても、例えば電子カルテ導入とか(うちは実は電子カルテでiPhone、iPadなど何からでも見れるんですよ)、新たな治療技術の習得とか、まあそういうところになってくるわけです。
この段階では、つねに「患者さんのために」を考え、患者さん目線で物事を決めていく必要があり、この段階で患者さん目線になるという思考が鍛えられるのだと思うんです。
技術力を高める努力をするのもこの段階からということになります。

この段階でのDRMはそこそこコントロールしてやっていく必要があります。

 

STEP3:社会貢献段階(利他性重視)

売上も安定し、院内の整備もできてきたら、次は院の理念をはっきりさせ、この社会にとって本当に役立つ院作りを目指していく段階にくると思います。
そのためにはたまには「損して得取れ」ということも出てくると思いますが、それこそが医療としての本当の姿だと思うのです。

この段階ではすでに

DRMは必要なくなっております。
というか・・・・

「今なら〇〇円!」

とか

 

「今だけ〇〇プレゼント!」

 

なんてしちゃいけない段階です。

チラシというのは、患者さんも見るわけです。

口では「社会のために」なんて言いながらも結局金儲け主義やんって思われます。

 

STEP4:マネジメント段階(利他性重視)

ここから先は行くか行かないかは自由な段階だと思うんですが、マネジメント主体の段階です。
自分が現場を抜け、人に任せるようになる。
自分や院の理念をより広げていくために分院展開を考えたり、協会ビジネスをしたり・・・の段階です。
実は私の院はSTEP4にはいないんですね。
まだまだ治療したいんで(笑)

 

とまあ、この4つになるんじゃないかと。

まあ最後のSTEP4に関しては、その先生の価値観なのでそこまで行く行かないは選択になります。

 

 

結局のところ、DRMというのはマーケティングという名前がついてるからものすごく高尚なイメージがありますが、飛び込み営業のようなものです。(飛び込み営業をバカにする意図はありませんので勘違いなさらず)

 

 

チラシというものを勝手にポストに入れてゴミを増やすわけですからね。

 

 

インターホン押して

 

奥さん!!腰、痛くないっすか?

洗濯物とか干すとき困ってません?

腰痛にむっちゃ効く治療法あるっすよ。

でね、限定5人に限ってなんですけどね、

なんと1980円なんですよ、ホンマは1万円の治療が。

今すぐだったらこの値段でいけるんっすよ!

しかもね、回数券買うとよりお得なんっすよ!

 

 

って言ってんのと同じでしょ?

反応率の高いチラシってこんな内容でしょ?(笑)

 

これ、患者目線じゃないですよね。
自分が買って欲しいんですよね。
だから下品な感じするんですよね。

 

チラシっていうのは、自分の言いたいことを書くんじゃなくて、困っている人が聞きたいことを書くものなんですよね。

 

ま、今回はチラシに言及しないのでこのあたりでやめておきますが。

 

 

ということは、DRMをやっていいのは、もうほぼSTEP1だけということになります。
これは保険、自費関係ないんです。
売上金額もあまり関係ありません。
例えば開業して20年の院が、ずっと保険で急に自費をやりだしたからと言って

「今なら1980円!」

とかのチラシをまくのはナンセンスなんです。
だってもうSTEP3くらいまでは行ってるわけなんで。

 

それに、20年もそこにあり続けることができているわけですから、下手にマーケティングするくらいなら、「冷やし中華始めました」みたいな感じで「院長特別自費治療始めました。5000円」とか院内掲示してるだけでも「先生受けてみたい!」って患者さん絶対いますよね。

 

 

 

それに、STEP1以外の段階はすべて他人重視です。
自分都合で買って買ってというのではなく、患者さんにとっていいものを提供する、そしてその仕組み等が社会にも役立つ、そうなっていくべきものなんですね。

DRM、要ります????

 

ちなみにアカデミーでは外傷は保険でもいいけど、それ以外は自費というスタイルを強く推奨しています。
本来そうだったはずなので、これは新しいスタイルではなく柔整、ほねつぎの原点回帰だと思っています。
患者さんも最高の治療が受けられるし、不正もなく、医療費も下がる。三方よしなんですよ。

DRMというのは下手すると患者さんを騙すことにもなります。

だって未熟な人間でもDRMの手法は勉強すればすぐ使えるので被害者が増えるんですね。

私は医療人は

「技術・知識・人間力・経験」

が重要な要素だと思っていますので、何かが足りないならそこを補う努力もしつつ、他の要素でカバーしなければならないのですが、ここ最近の我々の業界を見ていると、明らかに経験不足で若い先生が専門学校の臨床実技で習うレベルの技術を動画で得意気になって公開していて、間違ってみてしまった私の方がなんだかとんでもなく恥ずかしくなってしまうという状況も多々あったりします。

あ〜、このなんともいえないこっぱずかしい感じ、やめて欲しいな〜

若い先生でもすごく勉強されていて良い先生もいますが、そういうの得意気にやる若造に限って、やっぱり大したことないというこの現実。。。。

で、そんな若造のセミナーもまたDRMが使われていて、結局治療のセミナーのはずがDRMのことばっかり言われたり。。。。

 

 

最近は芸能人とかが覚醒剤で捕まっていますが、DRMというのは同じくらいヤバいツールなんです。

 

永遠にSTEP1に居続けることになります、売上はあるのに。

 

「チラシまけばなんとかなるよ」

 

って具合です。
売上目標とか、お金に対する向上心はあるものの、人としての向上心はもうなくなります。

「金稼いでないヤツはクソだ」

くらいな価値観になります。
最初はおもしろいほど反応があり、売上も上がるし、開業してすぐにお金を持ってしまうと

「あ、俺もうずっと金持ちだわ」

なんて勘違いします。
私もしましたから(笑)

 

そのうちチラシはホームページの反応が落ちてきます。

なので反応率をUP、もしくは維持するために、もっと強いオファー、もっと強いオファー、もっと激しいライティング・・・と、

まるで吸引やあぶりから注射になるように、

まるで一回の使用量が増えるように、

過激なライティングをしたチラシやホームページになっていきます。

 

ホームページの雰囲気なんてもう、スーパー玉出(関西以外の方はググってみてくださいね)みたいな雰囲気になってしまったりして・・・・

 

覚醒剤で脳の機能がやられるように、DRMにどっぷりはまった人間は売上が落ちた時になぜ落ちたのか正常な判断ができなくなっています。
もっと反応率の良いチラシ、もっと反応率の良いツール、もっと反応率の良いノウハウ・・・・

そしてずっとSTEP1に居て、自分目線だったため、もう患者目線での思考もできません。
自分の院の売上を維持、UPさせるために何をすればいいか、ということしか考えられないということになります。

私はDRMは狩猟型だと思うんです。

たくさん新規を集め、その中からふるいをかけ、合う人を残していく仕掛けを実施していく。

これはサプリメントの通販ならいいんですが(いやまあほとんどのサプリが嘘みたいなもんなので良くはないんですがね)、こと直接身体を触る我々は、患者さんを教育し育てるという義務もあるはずなんですね。

どちらかというと農耕型です。

そのために重要なのは先述したように「技術・知識・人間力・経験」なんです。
だから免許取ってすぐ開業は「ない」んですよね。
なので、我々の場合はDRMもあまり狩猟型になりすぎずに、農耕的要素を残し、STEP2では常に収穫できるようにしていかないといけないんだと思うんですよ。

畑を耕すには足腰が必要ですよね。
その足腰が人間力なんです。
事業の農耕にはトラクターはありませんし、ここで楽するとあとで必ずしんどい思いをするので、しっかり心の足腰を鍛えた方がいいんです。

人間力が低くて経験が少ない、知識は国家資格レベル(つまり医療として最低レベル)、技術はたかだかちょこっと習って盲信している程度かまだ何も知らない程度、の人がDRMにはまってしまうと・・・・・

 

数年後、その人はもう治療家じゃないかもしれません。

 

この仕事が嫌いならマーケターになればいいと思いますがね、ずっと下品なまんまのマーケターなんでしょうね。

 

なのでもしあなたの院が、すでにSTEP2以降なのであれば、DRMをいつやめるかを考えないといけないと思います。
というか、いつまでポスティングするんです?

もしあなたが今STEP1に居るならば、早く脱却しましょう。
そのためには、実は自分目線から患者目線に変えるだけで、案外すぐに脱却できるんです。

 

そうすることで、より治療に、より患者さんに注力できるようになります。

 

DRMで調子に乗らないよう、道を外れないよう、本当に気をつけてください。

我々はマーケターではなく医療人なのですから。

 

3/13(日)は最後の自費導入基礎講座が開催されます。

残り2席となっておりますので自費治療導入の基礎をしっかり学びたい先生、アカデミーに興味のある先生は下記からお申込みください。

http://j-tia.com/fundamental_seminar

投稿者: 正隆松村

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