こんにちは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。
早速ですが、前回記事「当アカデミーで「外傷は保険OK、外傷以外は自費」を薦める理由①」の続きを書かせていただきます。
前回の記事では、かなり理論的に当アカデミーが「外傷は保険、それ以外は自費」というスタイルを薦める理由を書かせていただきました。
しかし、人間というには理論的に理解できても、感情がそれを拒むという生き物です。
「言ってみればそりゃお前の言う通りやけど」
という状態です。
では、この「けど」の後をちょっと想像してみましょう。
①「言ってみればそりゃお前の言う通りやけど、うちは8割程度がグレーな患者さん。そんなことしたら誰も来なくなる」
②「言ってみればそりゃお前の言う通りやけど、今まで来てくれてた患者さんはどうすんねん。金だけのために切るんか」
③「言ってみればそりゃお前の言う通りやけど、俺らよりも古い先生は保険だけでいけてたはずや。俺らは無理なんてそんなん不公平や」
とかでしょうか?
まあ他にもあるとは思いますが。
いや〜、わかります。
私もそう思ってましたもん。
ではまず①から。
グレーな患者さんが、絶対に来なくなるという理由はどこになるのでしょうか?
そりゃ、保険で1回500円程度だった内容と同じで、5,000円取ろうというのは無理があります。
でも、それなりの価値があるものを提供したら、その8割の人すべてが受診しなくなるということはありません。
もちろん、全員が残るということもありませんが。
また、ここで気をつけていただきたいのは、人数の感覚です。
保険主体でやっていると、平均単価は安価ですので、来院数が多いほどいいという感覚になります。
例えば私の院は、少ない時は1日に10人を切ることもあります。かと思えば20人とかの時もあります。
さて、うちの院の売上はいったい一人で保険主体の院をやるのとどちらがいいでしょうか?
ちなみにうちの院の単価は6,500円。
保険で2部位請求した時の単価の5倍以上ですので、少ない日で1日50人を切るくらい、多い日で1日100人くらいということになります。
人件費はありませんので、コストは大幅に減っております。
そんなにたくさんの人数を診なくてもいいということを覚えておいていただければと思います。
では②です。
確かにそうですよね。
経営的な都合だけで、今まで来ていただいていた人をおいそれと切れるかという問題です。
意見のひとつとしては、経営者である以上は、ドライな選択も仕方ないのではというものもあります。
が、そう言ってしまえば元も子もないですよね。
今まで肩こりや腰痛で保険で来てくださっていた患者さんの中で、
「先生じゃないとダメやねん」
という患者さんが何人いるでしょうか?
「もちろん全員!!」
と言いたいところでしょうが、現実はそうじゃないですよね?
「保険で安くもんでくれるから」
「家が近いから」
等、先生の治療や先生の人柄以外の受診理由もあるわけです。
そして、そういう人がこう言うのです。
「〇〇円も値上げされたら、もう来られへん!」
私は300円の値上げでこう言われました。
そう、こういう人は、5,000円だろうが、数百円の値上げだろうが来なくなります。
先生の院より近くに保険で安くもんでもらえる院があれば、すぐにそこにいきます。
過去、うちの院にこんな患者さんが来ました。
うちは保険を使わないのに、受付で保険証を出してきたおばちゃん。
「あ、うちは保険扱ってないので」
「え?整骨院やのになんで?」
「そういう方針ですので」
「私は今まで〇〇整骨院に行ってたけど、そこでは保険が使えたわよ!」
「あ、だからうちは扱ってないので」
「あそこは500円でもんでくれた」
「いや、だから保険は」
「肩こりひどいから治したいのに!」
「じゃ、治療します?」
「保険効かへんのでしょ?」
「はい」
「じゃ、いやや」
「あ、そうですか。じゃあ従来通り〇〇整骨院に通院されたらどうでしょうか?」
「あそこは遠いし、この前10分も待たされたから嫌や」
「では、お近くの他の保険が効く整骨院に行かれたらどうですか?」
「なんでここは保険効かへんのよ!」
この辺で私も頭にきたので
「え〜、そもそも柔道整復、いわゆる接骨院・整骨院の保険っていうのは、骨折、脱臼時の応急処置、そして医師の同意があればリハビリ、あとは捻挫、打撲、挫傷のみに限られてまして、肩こりを捻挫や挫傷というものに置き換えて請求するのは不正行為なので、もし当院が保険を扱っていてもあなたの症状では使えないんですよ」
とお伝えしました。するとこんな一言が。
「そんなんわかってるわよ!だから〇〇整骨院の時も、家でこけたとか、そういう理由を作ってもらって請求してもらっててん。うちの保険組合やからうるさいから〇〇整骨院は上手いことやってくれとったんや!」
まさか不正を正当化するとは・・・
「いや、だからそれ自体が不正行為ですって。違法です違法。法律違反。うちではできかねますのでどうぞお引き取りください」
と言って帰っていただいたのですが・・・・・
その後1時間ほどしてから、そのおばはんから電話が。
「今日、そちらでしゃべった事、だれにも言わないでくれます?私はこれからも肩こりを保険でマッサージしてもらいに整骨院に行きますから!」
と、今後も不正に手を染めることを宣言して電話を切られました。
今、来ている患者さんの中には、そういう人もいるということです。
いつまで、そういう人に笑顔で接して、顔色を見ながら仕事するんですか?
ということになってきます。
そして、先生の価値をわかっている患者さんはほとんどの場合残るか、一旦来なくなっても
「やっぱり先生じゃないと!」
と言って来てくださいます。
では、最後に③です。
これね〜、非常にわかります。
我々世代までは、修業という名目で、プレス機のように働かされ、学校に行くのに寄付金を払わないと東大生でも落ちると言われてた時代、私も今でも奨学金の引き落としがあります。
当時、すでに開業してた人は、院を任せて自分はどっか行って、良い車に乗って・・・
とかなり美味しい思いをしていたのも事実。
そしてそのしっぺ返しは我々世代以降に架せられ、なおかつ最近の若い子は、安い給料では働かない、高い給料でも、修業の感覚がないからモチベーションを保たせるために、色んなマネージメントを学ばないといけない等、かなり損していると思います。
実はこの現状に関してはなんら対策はないんです。
そう、仕方ないんですね。
ゴチャゴチャ言っても、何も変わらない。
だから、現状でベターな策を考え、実行していかなきゃならないということになります。
さて、まあこんな感じで書かせていただきました。
私がアカデミーで、「外傷は保険で診てもいいけど、それ以外は全部自費で診ていこう」という理由は、ただ単に「柔道整復師なんだから」という綺麗事なだけでなく、現状を分析したものであり、感情的にも、いくらでも納得できるものであるということの説明でした。
だからと言って、私はアカデミーが絶対だとは思っておりません(当然ですが)。
アカデミーのことで、肯定的なことばかり書いていても不公平だと思いますので、次回は少しアカデミーの欠点について書かせていただきたいと思います。